私が地域おこし協力隊になることで大島に移住してきたわけですが、家族も友人も、「協力隊?なにそれ?」状態。つい1年くらい前までは私もその状況だったので、わかります。なんかもうネーミングからして胡散臭いもんね。
 「何をするの?」って言われても、「何をするんだろうね?」という感じでした。いまだに、「結局何してるの?」と聞かれます。活動すればするほどひとことではうまく答えられなくなり、謎は深まるばかりになっているようなのですが、とにかく私が大島の暮らしにほれ込んでいて楽しそうに暮らしていることは伝わるようで、最近では憧れのように言われます。

 そもそも、私が面接やらなんやらの際に協力隊でやります、と言っていたのは、内外への情報発信を通じて島の魅力を知らしめ、島民の地域愛向上を図ること。シビックプライドの構築です。手に職もなけりゃ田舎暮らしに役立つ経験もない私にできることと言ったら情報発信かなと。ありきたりですが。今治は協力隊がたくさん入っている地域なので、そろそろ協力隊がいなくても自走できるシステムが必要じゃないか?などと考えていたわけです。

 何をするにもとにかく1年目は地盤づくり、いろんな人と関わって、地域に受け入れていただけるように、と思っていました。とはいえせっかく採用していただいたのだし働きを見せねば!と空回ったりなんだりしているうちに、実績がどうこうよりも定住、が求められているのかなと感じ、実際自分の主目的もそちらだったので、定住に向けて着々と動きつつ、それが地域おこしにもなるようなことをやっていこうと思うように。農業をやったこともなく、将来的にやる気もない私が畑を耕すよりも、地域の方がやった方が断然うまい。私がいると助かる、と言っていただけるのはうれしいけれど、私(じゃなくても協力隊)がいないと回らないっていうのは根本的に破綻している。そのあたりを加味すると、できないことを頑張ってやってみる(姿勢はもちろん大事だけれども)よりも、できることや得意なことを活かして価値を生み出していく方が、双方にとって建設的なんじゃないかな、なんて考えるようになりました。

 高齢化率の高い過疎地、とはいえ、お年寄りは私の地元に比べたら圧倒的に元気で、お年寄りなんて呼んではいけないレベル。そして高齢者向けのことは結構充実していて、今足りていない部分は私個人でどうこうできる範疇を越えている。そこをどうこうしていく、というのも協力隊としてはアリなのだろうけれど、私のできること、やりたいことを考えると、ちょっと違うかなと。であれば、人数が少なく減っていくことが目に見えているためか疎かになっている、若者や子ども、子育て世代向けのコンテンツを充実させていく方が、私向きなんじゃないか。ここのお年寄りの方々は、田舎で島という条件からは驚くほど、ヨソモノに対して寛大でウェルカム。ソトから来た若者が楽しそうになんかやっている、島の若者や子どもたちが楽しそうにしている、それを喜んでくれる風土がある。そんな地域でヨソモノの私が地域の若者たちとわいわいしながらちゃっかり定住、それって地域のお年寄りのシビックプライド形成につながるんじゃないかな(ちゃんとつながった!笑)。そんな風に半年たった今は考えて活動しています。

 来年あたり芽が出るよう、あちこち種まいて水やってしていたつもりが、思いのほか早く芽が出たり実ったり、蒔いたつもりのない葉が芽吹いたり。ここから半年は想定よりもばたばたしそうです。というかすでにしています。
 本当に、運と縁。そしてタイミング。急に降ってわいてくるチャンスを逃さないためには、種まきを早めに始めて正解でした。そろそろ蒔きっぱなしになっているところも耕さなければ。来年のために耕して種をまいてしつつ、今年の食いぶちは収穫せねばなりません。

 忙しい方が暇で何していいかわからないよりも断然いい。仕事人間なので、危うく暮らしがおろそかになりかける時もありますが、都会を離れて収入を減らしてまで得たかったものは何だっけ?と立ち返り、暮しも保てるよう心掛けています。
 島ぐらしだと、家が寝に帰るだけの場所にはならない。テレビも4局しか入らないし、アフター5に過ごす場所もないし、必然的に家時間が充実する。これは、とても精神安定上いいことだと思います。みんな島に来ればいいのに。
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