本を置いてほしいという営業のご連絡をいただくことが、時々あります。出版社の方や出版社から本を出す著者の方からご連絡をいただくことのほかに、個人で本を作っている方からご連絡をいただくこともあります。どちらの場合も、わたしはとても嬉しく思っています。地方の小さな、個人営業の店を見つけてご連絡くださること、そこに大切に作った本を置いてもいいと思ってくださったことがありがたく感じるからです。
ただ、どんな本でも置けるわけではありません。以前も書きましたが、本を置くスペースの問題と、本を仕入れる予算の問題があります。
こりおり舎の場合、予算の壁がとくに大きな問題です。少ない予算で毎月の仕入れをパズルのように組み立てているので、2ヶ月後くらいまで仕入れたい本のリストで予算が埋まっていることがほとんど。
そのため、予算があれば入れたいけれど今は難しい、と保留のお答えすることが多くあります。実際に、数ヶ月保留してから仕入れのご相談をすることもあります。そもそも、細く長く売っていける本をおきたいと思っているので、発売や印刷に合わせて注文できないのは心苦しいのですが、こちらの「いいとき」に仕入れても売っていける本であることは大事な要素のひとつです。
こりおり舎とは合わず、売っていくのは難しいだろうなという内容やジャンル、値段などでお断りすることもあります。今のところ、こりおり舎はあまりZINEに強い店ではありません。ZINEのような個人で作っている本が好きな方がお客さんの割合として少ないということもありますし、ZINEに限らず、ZINEのジャンルとして多い、個人のエッセイや日記や、写真集などのビジュアル系のジャンルに弱い、ということもあると思います。大型店では扱いにくい、小さな出版社や個人の出版物も扱っていきたいと思って仕入れてはいますが、全体としての割合は多くありません。ほかのお店で見ていいなと思って購入した本の仕入れをしてみても、うちでは動かない、ということもよくあります。
中には、こりおり舎にぜひおいてほしい、と熱いメールをいただくこともあります。コピペであちこちのお店に送っているんだろうなぁというメール(この場合でも最初に書いたようにメールをいただくこと自体はありがたいと思っています)に比べ、おいてほしい店を選んで連絡しているのだろうな、うちのことも調べてくれたんだな、とわかると、ほんとうに嬉しい。
そうやってこりおり舎のSNSやブログを見てくださってご案内くださる本は、ギャップが少ないという嬉しさもあります。たしかにこりおり舎に合いそう、お客さんが好きそう、私たちが興味がある……など(それでも今月はもう予算がないのでごめんなさい、ということもあります。苦しい)。
本を作ることを考えだして本を売り込むことも考える中で改めて感じているのは、本屋へ営業する時は、どんな店にその本が合うのか、どんな店に置いてほしいのかを考えてその店のことを調べて連絡するのが大事だろうということ。実際に足を運んだことのある店ならなおいいでしょうが、地方の店も増える中でそれはマストではないと思います。SNSなどにも情報は溢れているので、少し調べるだけでもわかることはあります。
目的は、本屋に置いてもらうことではなく、その本屋を通じてお客さんに手に取ってもらうことであるはず。「その店に合うか」は「その店のお客さんに合うか」ということにつながるので、合わない店に置いてもらったとしても、なかなかそこから手に取ってもらうことは難しくなります。置いてもらえても、棚の隅で色褪せていくのは悲しいですよね。「この本屋に置いてもらえそうか」ではなく、「この本屋で手にとるお客さんがいそうか」を考えるといいのかな、と思います。
ちなみにこりおり舎では、SNSのDMやオンラインストアのお問い合わせフォームからでも対応しますが、SNSでもオンラインストアでもちょっと確認すると営業の場合はこちら、とメールアドレスを記載しているので、そちらからご連絡をいただくとそれだけで、ちゃんと見てくださっているなーと思います。
また、いただいたご案内のメールには、お断りも含め、なるべくお返事をするようにしています(時間がかかってしまうこともあります、ごめんなさい!)。うちには合わない、今は予算がない、なるべく実情をお伝えします。誠実にご連絡いただいたものには、しっかりお応えしたいと思っています。
だからこそ、できれば一度のご案内で判断できるメールをいただけるととても助かります。
「興味があれば条件を伝えます」「検討してもらえるなら見本を送ります」というメールが時々あります。丁寧に進めてくださっているのも、興味がないところに条件を晒したくないのもわかります。見本を送るのもコストでしょう。でも、もともとこちらから連絡しようと思っていたり、相当関心のある本出ない限り、内容と合わせて条件は重要な判断材料です。見本を見た上で仕入れない、の判断をしていいなら見本を送ってくれたらいいし、それが難しいなら初回発注に見本をつけます、などでもいい。お断りのメールも含め、こちらからのお返事に関しては手間とは思いませんが、メールのやり取りがもう一往復増えてしまうのは手間だなぁと思います。断るかもしれない状況で質問してお答えいただく手間をかけるのも心苦しいなぁというのもあります。お互い手間もストレスも少ない方がいいですよね。
【ご案内時にいただけると嬉しい情報】
本の内容(著者の情報、目次など)、本の作り(装丁、サイズ、ページ数など)、
書影(中の画像もあると◎)
条件(掛け率、最低ロット、送料や振込手数料の扱い、支払サイト)
最近いいな、と思ったのは「〇〇社の『△△』が売れた店に合うと思います/並べるのがおすすめ」といった説明がついていたご案内。マストではありませんが、こういうどんな人、どんな雰囲気に合う本か伝えてもらえると、イメージしやすくて助かります。
本屋としては、基本的に買取しているので売れるかわからない実物を見ていない本を仕入れるのは勇気が入りますが、会ったこともない店に大切な本を送って支払いは1ヶ月後、となる作り手も勇気がいるだろうなぁと思います。お互いにリスクを払い、リスペクトを持って向き合えると、本の作り手と売り手、そして読み手のいい関係が築けるのだと思っています。
お店それぞれに考えや状況はあると思います。こりおり舎の場合はこんな考えでやっています。
いろいろ書きましたが、迷惑かも。。合わないかも。。と悩んで連絡をいただけず、素敵な本の情報に出会えない方が悲しいので、こりおり舎においてほしい、と思っていただけるなら、遠慮なくご連絡ください!
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