仕入れの予算
こりおり文庫では、毎月おおよそ同じ金額になるように、発注金額を設定しています。
オープン当初は、「まだ必要な本が揃っていない」という認識だったので、あまり上限を設けず、必要だと思う本は発注していました。しかし、予算は無限ではないので、いつまでもそういうわけにはいきません。
オープンの段階でも、置きたい本をすべて仕入れてオープンしたわけではありません。置きたいけれど予算が足りず諦めた本も多くあり、そういう本は少しずつ発注していけばいい、と考えていました。
すぐに、この考えは甘かった、と知ることになります。
なにせ、新刊は毎日毎日何百と発売されます。
こりおり舎に置きたい本も、少なくとも月に数冊は出ます。知らなかった既刊で置きたいものが見つかることもあります。出版社や著者の方から魅力的な本の案内をいただくこともあります。
どんどん新しい本に入れ替えていけばいいのなら、まだなんとかなるかもしれませんが、売れた本も、また置いておきたい本は、再び発注することになります。その分は、新しい本を入れられません。
「置きたいけれど仕入れられていない本+新しく入れたいと思う本+売れた本」をすべて発注しようと思ったら、予算に収まるわけがないのです。
出版社や発注ツールによっては最低発注ロットなどが設定されていることもあり、仕入れはもはやパズルです。
今月はこことここに発注したい、先月売れたあの本も補充したい、あそこからも来月は新刊が出るし…と何とか組み合わせて発注した後に、「今月末に新刊が出ます!」という魅力的な案内をいただき、その月には仕入れられない、ということも。
いつもぎりぎりの冊数の仕入れなので、売れていくとうれしい反面、売り切れてしまうとすぐに補充できないことも。
最近はSNSを見ていただけることも増え、ご紹介してすぐ品切れになることもあるので、気になった本があったらぜひ、早めに手に入れていただければうれしいです。
こりおり舎では、基本的に新刊(新品という意味ではなくて、発売直後の本)をあまり優先していませ ん。
もちろん、こりおり舎で人気の著者さんの新しい本や、わたし自身が注目している本など、待っている人がいる本は、なるべく早めに並べられるよう仕入れます。しかし、毎日入荷がある書店と違い、基本的には一つの出版社や取次からの発注は月に一度なので、なかなか発売日に合わせることができません。
発売直後だから売れる、新しいから欲しい、という「新しい本」はどこでも買えます。近隣の大型書店でも、Amazonでも。それなら、無理にその本をこりおり舎で並べる必要はない。
その分、長い目で、いつまでも置いておきたい、いつまでも古びない本を大切に置いていきたいと考えています。
返品のできる委託ではなく、基本的にすべて買い切りでの仕入れをしていることもありますが、時期を逃したら売れない本は置きたくないなと思っています。
(まだまだ失敗も多いですが…)
たしかに、大手では扱いにくい、個人の作家さんのものや、大手流通を通していない雑誌などを大事にしています。
でも、おそらく「見たことがない本」には「大きな書店では見えてこない(だけで本当はある)本」も多く含まれていると思います。
そんなふうに、こりおり舎の空間だから出会える本があるならば、それが発売日だろうと、1年後だろうと、10年後だろうと関係ありません。その人にとっては出会った時が新刊で、目について手に取ろうと思った時が読みどきなのだと考えています。
今日も明日も、読みつなぎたい、棚に並べておきたい本を届けていけたら。
それはこりおり舎の棚だけではなく、本を手にした人の家の本棚であっても変わりません。
そんな思いで、明日からも本を仕入れていきます。
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