どんな本でも置けるわけではない。

 書店に並ぶ本は、どのように決まっているか知っていますか?
 ここ数年、新刊書籍の出版点数は減少傾向ですが、それでも年間に発行される点数は7万冊を超えます。総務省統計局HPより
 1日平均で190冊以上!   
 古くなったらいらないわけではないので、流通している本全てを書店の限りある棚に並べるのはまず不可能です。
 
 つまり、どこの書店でも書店(員)がどれを置いてどれを置かないか、判断しています。判断するのが現場の書店員、店舗レベル、チェーン全体など、お店によって異なりますが、大きな店でも、チェーンの店でも、個人店でも、判断をしていることに変わりはありません。
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 わたしが働いていた店では、チェーンやお店規模で判断する置かないものがあり、それに加えて担当者レベルで判断する、という感じでした。
 ちなみにわたしが働いていた店(大型、中型どちらも)では、成人向け図書、有害図書(性表現や暴力表現が青少年育成に悪影響を及ぼすとされる本)は置かない、あとは売れる、売りたいと担当者が判断したものを置く感じ。判断を任されると難しいなと感じたのは、その当時(2015年頃)でいうと嫌韓本など。

 結構好き勝手やらせてくれる(担当者の判断に任せてくれる)店で働いていて、実用書の担当だったのであまり重い判断を迫られていません…(発行点数が多いので、次々入る新刊を棚に入れるため古い本や売れ行きの悪い本を棚から抜くのに苦労はしました)


客層と店の役割。

 前回のブログで書いた本屋の役割にも通じますが、その店の立地や客層によって、その店にあった方がいい本となくてもいい本、ない方がいい本がありそう。
 
たとえば、

■家族連れが多く訪れる商業施設の中の書店
 絵本や児童書 専門的な学術書 ×成人向けの書籍
■大学の近くの学生が多く訪れる書店
 ◎専門書や研究書 △絵本やコミック

 逆に成人向け専門の書店は、そうとは知らずに入り込む人がいないように一般書は置かない方がいい。
 
 大体の場合、
あった方がいい本=客層に合っていて喜んでもらえる本=売れる本
なくてもいい本、ない方がいい本=客層にあっていない=あまり売れない本

 ない方がいい本はあるだけで来た人が不快になったり、来たくなくなったりする本。
 
「喜ばれる(売れる)」=「売りたい(いい本だと書店員が思う)」
「必要とされない(売れない)」=「置きたくない(自分や店の思想と反する)」

 
 これがすべての本に当てはまればいいのですが、そうでもないことがあるから悩みます。
 好き嫌いを越えて、その本を置くことがその内容や著者への賛同になるように感じるからです。
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 余談ですが、売りたい本と売れる本がイコールではないということにも悩みます。
 
 キャラクター絵本(売れる) < 時代を超え読まれる絵本(売りたい)
 有名ブロガーの時短料理(売れる) < 丁寧な料理の本(売りたい)

 このあたりは、置く置かないという極端なことではありませんが、店の色を出し、どんな人に来てほしいかを見せる上で重要なので、悩みどころ。


客層にあった本を置くのか置いている本にあった人が来るのか。

 本屋lighthous関口さんがTwitterに書かれていたことが本当にそうだなと思ったので、リンクを載せておきます。一連のツイートをぜひご覧いただきたいです。
  差別的、反社会的、暴力的、そういった思想の人が書いた本、そういった内容の本を置かない、という判断をしていくと、そういう本が欲しい人が来ないお店になる。
 大型書店だと「なんでないのか」とクレームをつけてくる人がいて、現場は「ないものはない」を目指してしまったりもするのですが、「そんな人はお客様ではない」と毅然とした態度を取れたら良いのだろうなと思います(そう言って矢面に立ってくれる上司に恵まれたことは幸せなことだった)
 「うちにはないのでほかで買ってください」というのは、言っていいはず。
 
 たとえば、缶詰ひとつ、ワイン1本買うのでも、それが日常使いなのかハレの日のものなのか贈り物なのかで、チェーンのスーパー、デパートの食品売り場、業務スーパー、輸入食品の店を使い分けますよね。チェーンのスーパーにキャビアの缶詰がなくても、輸入食品の店に3缶300円のツナ缶がなくても、誰も文句を言わないのに(クレーマーは言うのかなぁ)、なんで本屋は置く本を選ぶだけで色々言われるのだろう。そこに思想が絡んで、それを判断するのが思想を持った人でしかないからなのだろうけれど、とやかく言われることではない気がしています。
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どんな店でありたいのか。


 こりおり舎では、個人店で島の小さな店なので、置きたくないものは置かない、ができます。全部の本を隅から隅まで読んでいるわけではないので、見逃してしまっているものもあるとは思いますが、自分の思想と反するもの、おすすめできないものは置かないようにしています。
 こりおり舎で大事にしているジャンルでも、田舎暮らしや起業の本でアンチ都会やアンチ会社勤めといった極端なものだったり、自然に近しい暮らしの中でもあまりにスピリチュアルなものやトンデモ療法みたいなものだったりすると、置かないという判断をしています。一見良さげな雰囲気を纏っていたりするので難しい。
 いろいろな選択肢のある場ではありたいので、自分の思想だけにならないように、という意識もしつつ、おすすめできないものは置かない、という判断をしています。店ごとに基準があり、それぞれの役割に応じたものなのだと思います。
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 今回は置かない本の話がメインでしたが、置きたい本の話もまたしていきます。 
 置きたいけれど予算やスペースの都合で限りがある、という個人店は多いと思うので、そういう時の判断基準や優先順位の付け方、それぞれの店の基準、聞いてみたいなぁと思っています。 


 
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