参加しているオンラインサロンで本の紹介をする企画があり、久しぶりに本屋としてではなく個人的に話したい本の話として、
枡野浩一さんの『ハッピーロンリーウォーリーソング』のご紹介をしました。





 中学生から高校生にかけて、本それも小説ばかり読んでいた学生時代、韻文の世界に触れたきっかけといえる一冊です。

 その後のわたしは、高校の課題で中城ふみ子の研究をし、大学で中世連歌の研究をし、自身も短歌を詠んだり歌集を読んだり、どっぷりと韻文の世界にはまっていったわけですが、枡野さんの短歌なしにここまでハマることはなかったのではないかなぁと思います。

 枡野さんの魅力は、たくさんありますが、
  ①どこまでも口語的であること
  ②感情の吐露であること
  ③ネガティブであること

 
それによって身近に感じられること、なのではないかなと思います。

 SNSがそこまで流行っていなかった頃に、短歌や言葉を発信すること、感情を発信すること、に対するハードルを下げてくれた、貴重な存在です。
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 もうひとつ、『ハッピーロンリーウォーリーソング』の紹介をしていて、ふと思ったこととして、「韻文」と「写真や映像」は似ているなぁということがあります。
 ハッピーロンリーウォーリーソングは、短歌と1色刷りの写真がセットになっています。
 短歌と写真は、世界や、伝えたいことや、感じたことの
「一部を切り取って表現する」という点では近しいと思うのです。

 そして、どちらも触れていると
「世界の見方が変わる」という点も共通しています。
 これは、島に移住してきて俳句会に参加していたときと、動画編集セミナーに通っていたとき、同じ感覚になって気づいたことでもあります。
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 俳句や短歌を作ろう!と思っていると道端の植物や、雲の動きや、人の表情や言葉、そんな些細なものに敏感になり、ココロにひっかかったものをどう切り取ろうか、どう組み合わせようか、ということを日常的に考えるようになります。
 同じように、写真や映像を撮影しよう、と思っていると、ふとした人の動きや、木々の音や、鳥の声などがフックになり、カメラを持っていなくてもどう切り取ろうか目で追ってしまったりもします。

 感覚や感性が活性化するような、不思議な感覚です。かわり映えしないと思っていた自分の世界が色づくような気もします。お手軽に、お金をかけずにでできるのも、人知れずできるのもいいところ。
 なかなか外に出たり交流したりがしにくい今だからこそ、韻文や写真、映像で世界を切りとることで、目に映る世界を変えてみる、というのはいかがでしょう。


枡野さんの本をはじめ、おすすめの韻文もたくさん取り揃えています!


しまなみ大島の自家焙煎珈琲と本
 こりおり舎 


本屋の情報はコチラ


ドラえもん短歌 (小学館文庫)
枡野浩一
小学館
2020-07-17


淋しいのはお前だけじゃな
枡野 浩一
集英社
2008-03-19


 
かんたん短歌の作り方 (ちくま文庫)
枡野 浩一
筑摩書房
2014-07-11




枡野浩一
集英社
2014-04-04