2日連続ブログ更新。
 引き続き研修で得たものの話。


 今何してるの?に加えて、協力隊同士でよく話題にあがることとして、どこから来たの?がある。
活動地域ではなく、出身地のことだ。
「函館です」
というと、いいところですね、のような反応をいただくことが多い。
(北海道のひとって出身は北海道です、ってあまり言わないよね?)
ごくたまに、「大きい蔦屋があるところですね」と言われることもある。
お店の人との世間話なんかだとスルーするが、協力隊同士の場合は古巣です、と白状する。

先日の研修で久しぶりに、函館には蔦屋があるでしょう、と言われた。
すっぴん眼鏡で朝ご飯を食べながら、そうなんですよ、そこで働いてて、と言おうと思ったら、
「ぼくあそこのトップの下で働いていたんですよ」と言われて驚いた。
 私たち夫婦ともどもお世話になった社長が、普通のTSUTAYAの店長だったころ、ともに働いていたそうだ。
夫の入社前に退社しているようだったが、共通の恩人の名前に、お互い驚いて興奮気味に話をした。

 話題は、その恩人、梅谷さん
(私が出逢ったころから私にとっては社長だったが社長と呼ぶ風習はなかった)が昨年出版した本に。
実はこの出会いがあったのは研修ラッシュ3本目、私がその本をようやく入手したのが研修1本目だったので、私はまだ本を読めていなかった。
(言い訳だが、出版直後に買おうと思ったものの今治では手に入らず、こういう本こそネットではなく実店舗で買いたいと、梅蔦まで赴いたのだ)
 先に読み終えていたそうで、地域おこしの活動につながるものがある、と熱弁され、確かに、と思うところがあった。
出版された、と聞いたのをきっかけに私もそういえば、と立ち返り、考えていたのだ。
 あの巨大な店づくりは、決して商業施設などではなく、コミュニティづくりで、居場所づくりで、好きなものを見つける場づくりだった。
それは、地域おこし協力隊の活動に、規模は違えど通じるものがある。

50820502_1246673638815403_4473537025256980480_n
島に帰り、一気に本を読んだ。
 私が関わりだしたのは立ち上げの最終ステップみたいなものだったので、大枠は聞いていたものの、私が関わるよりも前の、店のコンセプトにいきあたるまでの、梅谷さんのこと、店のこと、函館のことがわかり、なんだかしみじみ懐かしくなった。
 懐かしい名前がどんどん出てきて、名前が出てこない人も含め、ともに関わらせていただいた濃密な時間を思い出し、泣きそうなくらいだった。本にメインで名前が出てくるふたりは、私よりも先に函館を離れた。本には、私が離れた後のことも書かれていた。

 私が関わる前の函館を知るための動き、考え、函館の店ができていくまでのステップは、地域を知ること。
函館に必要なものとして蔦屋書店を作ったことは、そこで成し遂げてきたことは
地域活性。
吐きそうなくらいコンセプトワークをしたことや泣きそうになりながらイベントをしてきたことが、協力隊に活かせるだろうとは思っていたけれど、こんなにリンクしていると思っていなかったなぁ。
 久しぶりに、函館のみんなに会いたくなった
ときに会議室で、ときに売り場で、ときに飲みながらいろんな話をしたひとたちに、今の私の仕事を見てほしいなぁと、アドバイスをもらいたいなぁと思った。月末の東京出張で会えないかな。

 一つの会社に長くいたことが無く、積み上げてきたものがないと思っていたけれど、こんな形で私の中に積み重ねられていたものに気付いて嬉しくなる。
 協力隊だって、地域に3年間で何を残せるか、ばかり考えているけれど、こんな貴重な時間は二度とないのだ、私の中にも残せるものがあるはずだ。私の中に残るものの密度は、気圧となり、地域に起きる風と比例するんじゃないかなぁ。
そんなことも考えた、研修ラッシュなのでした。


本に限らずリアル店舗の意味とか、好きなものを介してつながるコミュニティとか、自分の居場所づくりとか、まさに地方にこそ必要なもののことが詰まっています。代官山蔦屋書店はONLY ONEで、函館蔦屋書店はNO1(トップではなく、ひとつ目という意味で)だって言われていました。四国にも、高知に蔦屋書店ができました。地域づくりに関わる方にこそ、読んでほしい本です。語り口調なのでするする読めます。