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できること、やりたいこと、必要なこと。

協力隊として活動するようになってすぐ、いろいろな取り組みやコンテンツをこの3つに分け、相関図を書き、優先順位を付けた。私にできて、私がやりたくて、地域に必要とされることが最優先で最終目標だけれど、実際は私にできることしかできないし、私がやりたいことが必要とされているかわからないし、必要とされることができなかったりやりたくなかったりする。だから、まずはできること、必要とされることをやりながら、その中でやりたいことの需要を探ったり、やりたいことや必要なことをできるようにしたり、していこうとした。19か月、そうしてきた。

19か月で、できることが増えたり、やりたいことで喜んでもらえたり、そうでなかったり、必要とされることが増えたり、した。必要とされることには、「私」が必要なことと「誰か」が必要なことがあることを知った。必要とされていなくても、「私に」ではなく「地域に」必要だと思うことでやりたいことはやってみた。

そうしないと、動けないし、分からないし、始まらなかったからで、それは一つのやり方として、私の場合は、正しかったと思っている。それは、「地域おこし協力隊」に就職した私の仕事で、仕事の仕方だった。地域おこしがしたかったわけではなく、地方に移住するにあたり自分のスキルを活かして役立てるだろうと選んだ仕事であり、お給料をいただく分かそれ以上は仕事をしたいと思う。

一方で、3年という任期の決まった仕事である以上、任期満了後のことは常について回った。任期後は起業する予定で移住しており、最初からそれは明言していた。起業するビジネスに関しても、できる、やりたい、必要、の3つの柱で考えていた。私にできることで、やりたいことで、地域に必要とされる、店をつくりたい。

協力隊の仕事の場合、仕事の成果としてお給料をいただくわけではないので、やりたいことを中心に、できることや必要なことを考えることができていたように思う。一方、店をするとなると、その仕事で稼がねばならないということがあるため、どうしても必要なこと、それも「需要」に引きずられてしまう。

やりたいことがあって移住してきて、それに向かっているはずなのに、それだけでは稼げない、人が来ない、ならこんな需要を満たしたら、必要とされることをしたら。「こだわりのコーヒーを提供したい」そこからぶれない夫の隣で、客単価を上げるにはフードを取り扱わなければ、スイーツを一緒に食べたいと言われた、地元の人には価格が高いのではないか、観光客が来るには景色がいいところが、地元の人が来るには便利な立地が。迷走していることにも気づかず、私はここ1年ほど、ずっとぐるぐるしていた。たちの悪いことに、期待に応える、地域に価値ある店を目指して、「ちゃんと」動けている気になっていた。ここひと月くらいの間で立て続けに、立ち止まる機会、見つめなおす機会があり、ようやく、矛盾に気がついた。なんだかすっきりしなかったのは、ジレンマを抱えていたのは、このせいか、と目が覚める思いだった。

満員電車が嫌で、目も手も行き届かない大型店が嫌で、生活が疎かになるような働き方が嫌で、心と手と時間をかけられない仕事をせざるを得なくなることが嫌で。そうして、家族とも友人とも離れ、住み慣れた土地を離れ、移住してきたというのに。安定した稼ぎを手放し、やりがいのある仕事を辞め、起業を決めたというのに。なにをしているのだろう。今までを無駄にしたくなくて、気づかなかったことにしようかと思うくらい長いこと迷走していたのだけれど、気づいたなら一秒でも早い方がいいので、仕切り直し。

「料理が好きなの?」と聞かれたときに、そうだと胸を張れなかったときに、気づくべきだった。料理書の担当として料理書コンシェルジュなんて呼ばれ、料理教室を主宰し、マクロビフレンチのお店で働き、食に関する資格を取り。料理が好きなわけでも得意なわけでもないけれど、ここまで関わるのはもう食に関われという定めなのかもしれない、と考えていた。決して嫌いではない。食にまつわることに関心もある。けれど、作り手として私がつき詰められるかというとどうだろう。焼菓子やサンドイッチや総菜を作って、コーヒー屋として出店したイベントで販売した。値段をつけて売ることに、抵抗があった。プロにはかなわない。適当なこともできないししていないけれど、こだわりがあるかと言われると難しい。時間も手間もかかるし、ロスにおびえるし、ストレスだった。原価を考えると利益は取れているし、確かにイベント収益は上がるのだけれど、何か違う感が強かった。

 好きなことを
仕事にしたい、というタイプではないが、自分で選ぶことのできる自営をするならば、少なくとも、こだわりを持って、ストレスなく取り組めることがしたい。したくないことをしない選択をしたい。好きなことで食べていければいいけれど、それが難しければ稼ぐための仕事は切り離して、やりたいことはぶれないようにしていく。
 協力隊任期はあと1年3か月。方向修正、かたちにするのが間に合うかどうかわからないけれど、やれるとことまでやってみる。



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