いいことなのか悪いことなのかは、状況やタイミング、見る人によると思うのだけれど、私の仕事のスタンスとして、お客様よりも自分のいる会社なり団体なりの方を大切にしています。

BtoBで営業をしていた時も、お取引先様よりも社内の製作スタッフやカメラマンが大切だったし、小売業で接客していた時も、お客様よりも自店のスタッフが大切でした。

もちろん、どんな仕事であれお客様ありきなので、お客様のことは大切にするし、第一優先ではあります。でもそれは、スタッフが楽しく心地よく行う(もちろん必要な苦労や苦心も含む)仕事によって対応できるお客様に限られるのであって、どんなにお金を落としてくださる人であっても、無理難題を言いスタッフを理不尽に苦しめるような人であれば、その人はお客様ではないという風に考えています。



これまでいくつかの場所で仕事をしてきましたが、新卒で入った会社と、地元で勤めた会社が私の仕事観形成に大きな影響を及ぼしていると思います。

広告会社と複合書店という全く異なる業種でしたが、カタチのない企画を売りにしているとか、ベンチャーっぽいけど親会社がしっかりしているとか、社員の平均年齢が若いとか、いくつか共通点があって、お客さま・自社・取引先の三方よしの考え方なんかは、私にしみつけられたことの一つです。

スタッフが働きやすい・心地いい→パフォーマンス向上→顧客満足

という循環は、お客様最優先でスタッフが疲弊してまで尽くす仕事よりも、お客様の満足度は高くなると考えています。少なくとも、長い目で見た時の会社の価値は高くなると思うのです。

会社のそういう考えのもとに守ってくれたり大切にしたりしてくれる、男前な上司(女性も含む)に恵まれたこともあり、私のこの価値観は確固たるものとなっています。



私が身内に甘い、という部分も少なからずあるだろうと思います。
協力隊としては珍しく(?)組織が好きな人間だからかもしれません。
組織の中で必要とされる、評価される、ということなしに自己評価をする、自信をもつ、ということがすこぶる苦手なのもあると思います。
でも、働くなら楽しく働きたいし、一緒に働く人が楽しくなければ、一緒に頑張れる環境でなければ、楽しくないと思うのです。

協力隊として働く今、会社員時代とは状況が違うのですが、ついつい私の目は最も近い地域の人である、役場の人に向いてしまいます。
担当さんが楽になるなら、どちらが作ってもいいような書類は私が作るし、アルバイトさんが困っていれば、雑用でも手伝います。
役場の職員ではないし、支所の職員は入れ替わりもあるし、そんなことよりも地域に出るべきだ、という声もあるのかもしれません。

それでも、自分の地盤を固め、活動をしやすくし、楽しく仕事をするためには、私なりのやり方であると思ってやってきました。
新しい組織に属したときの、私のやり方ともいえます。


しかし、先日の豪雨災害のとき、自分の意識にどきりとしました。
島の中で土砂崩れなどに見舞われた集落には、顔見知りの方が幾人もいました。
その方々のことも心配をしたし、通行止めにさえなっていなければ手助けに行きたいとも思いました。
でもそれ以上に、金曜日から支所に詰めて数日缶詰を余儀なくされた職員さんの心配をし、助けになりたいと思ったのです。
頭で考えてではなく、無意識に、当たり前のように出てきた感情だったので、自分自身それに気づいて驚き、戸惑いました。
これはさすがに間違っているのではないか、そう感じて。
協力隊として1年半が過ぎ、支所の職員さんとの関係ができてきて、甘えもあるのかもしれません。
地域との付き合いはあるものの、思うように関係を深められていない、ということもあると思います。
働き方云々で言えば、間違っているとは思わないけれど、協力隊の意識としては、間違っているのではないかと思い、協力隊として目線をどこに置くのか、もう一度考えていかなければならないと、そう考えました。
まだ答えは出ないけれど、ここに、これからの活動においても大きなカギがあるのではという気がしています。